中国語な話(出張がサバイバルでは・・・ね)

中国語といえば。学会中同僚(中国人)に、「〇〇〇〇・・・吗?」ときかれてキョトンとしてしまったあたし。一句一句聞き返して「你自己打车吗?」だったとわかって苦笑。いつまでもサバイバル気分で中国出張をこなすのも、いつまでも中国語が上達しないことの裏っ返しだと思って反省。ということで先日の受験結果を。ちゃんちゃん。

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・・・でやはり本屋に行った

 ここでも性懲りもなく本屋に言った。北京の王府井や図書大厦、上海の書城にくらべればどうしたって小さくなるし、繁華街(西安路)の本屋は軒並み「受験参考書」平積みであった(なんでそれしか売らないんだよ・・・)でも歴史書を無言で見ていたら「日本人か?」と声をかけられて「うん」と言ってそそくさと退出したあたし。

 なのになんか本を買わずにいられないのは貧乏性か。実は先日FBで「自分たちと比べて今の若いもんはこんなことしかしていないのか?!プンプン!」といった論調の投稿にシェアが集まっていたり、中国では「高校でも人工知能の・・・」といったエントリがあったりしたので、ほんまかいなと思って立ち読みしてみた。

 結果買ってきたのが・・・高校数学の教科書の一部。フローチャートの取扱があったり、Scilabでプログラムを書かせたり、そういうものが高考(大学入試)で出たり、というところはちょっと日本にはないかな。このくらい学校でやってれば大学でSciPyをいじるくらいあんまり違和感がないかもしれない。

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 問題のベクトルは必須(ただし多分平面のみ)。ほか目立ったことで言えば、二次曲線(楕円、放物線、双曲線)の幾何的な取扱と行列・一次変換の初歩的取扱が選択科目として入っているくらい。ここが高考でどう取り扱われているのかは素人目にはわからなかった。なので、教科書を見る限り

・中国の高校生(高中)のほうが、簡単な数値計算まで「必須」な分内容は多そう。

・いわゆる「発展的学習」にも教科書がある点は親切

とはいえるものの、高校での線形代数はinoueの学生時分よりも軽いな、という印象を受ける。

 もう1冊買ったのは、北京の高校生がものしたという「北京の個性派書店」をめぐる随筆。先の北京出張時、ここで取り上げられている書店の一つが入っていた。受験準備で大変だろうに、センスいいなこの子・・・と思ってプロフィールを見ると、〇〇大学付属高校国際部、というところにいるらしい。家内から又聞きのところの、北京の「昔からのインテリ」の残像を奇しくも見た気がした。(どうやら2年前に出た本らしい。まだ並べられる、くらいの人気ということか)

大連に行ってきた

 実は大連に行っていた。学会参加の名目、といってもギリギリのエントリーで発表はなし。自分のiphone忘れたので写真もなし。10年来(いや、人によっては15年以上だ)の知り合いと旧交を温めるいい機会になった。昨年の11月にはじめて来たときにはとにかく寒かったけれど、今回はどちらかと言うと涼しかった−というのはわが国の首都圏に比べての話。

 学会そのものはきわめてawayだった・・・けれどもいわば「知り合いの知り合い」でかためた、お友達感満載の雰囲気もあんまり悪くないなとは実感。お決まりの話だが、中国の研究者のメインストリームは「一流の雑誌に、たくさん」出してなんぼである。その根底にはまだ「技術が未来を明るくする」という考えがあるんだろうなと思いながら研究者の発表を聴いていた。

 2007年に出張で中国に行きだして10年以上経ったが、傍目にも中国の研究者のactivityの増加は凄まじいものがある。こと日本との比較においてそれを資金なり、雑用なり、制度なりのせいにするのは簡単だが、公的な研究資金で言えば、結局わが国がお金が稼げない(税収がない、稼いだ以上に使わざるを得ない)こと、研究開発を担う人でいえば現役人口が減っているところに帰着するだけなので、LKY(Lee Kwan Yew)

が正しかった(それがおもったよりも早く現れた)だけでしかないな、と考える。

 多分、「日本が、中国が、」といったところでますます老い、ますます縮んでいくわが国の「メインストリーム」にハマるのがオチだろう。そういうものに頼り切らない(頼らない、とは今のあたしには言えません)生き方、というか仕事をしていくしかないんだろうな、というのがちょっとしたあたしのなかのこれまでの総括ではある。

中国制造再び

 中国制造2025関連で手に入れた文献をいじろうとしていたらほぼ1年。とおもったら数日前の日経で「中国製造2025・・・」がちょっとbuzzっていたので、何を今更?と思ったら関税報復合戦で引き合いに出されたらしい。

www.nikkei.com

 そこで昨年の続き。実はつい最近アジア情報室が、工业和信息部自身による中国制造2025の解説に触れていた。

『「中国製造2025」解読資料』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(15):アジア情報室通報 15巻4号 | アジア諸国の情報をさがす | 国立国会図書館

 

 中国国内ではどうやら2015年〜16年にかけて解題本が結構出版されたらしい。そのなかでも中国工程院の編纂した解題本は、最も網羅的にこれらのトピックスを解説している。中身を見ているとわが国のNEDOの技術戦略のようなものだが、もちょっと「戦略」色が強そうである。

 昨年のこのブログでもリンクを張っていたのだが、なんとまだこのリンクが生きていたのでもう一回貼っておく。

中国工程科技知识中心

 

 中国制造2025の柱は以下のとおりである。

1.优质制造(高品質製造)

 高品質製造をいかに実現するか、ブランド戦略

2.工业强基(工業基盤の強化)

 各種部品・先端材料・センサに関する基盤技術強化、ならびに生産プロセス強化

3.绿色制造(環境低負荷製造)

 製鉄・化学工業・非鉄金属工業・建材各製造業の環境低負荷化、プロセス産業の環境低負荷化、リサイクルの取り込み

4.智能制造(インテリジェント製造)

 インテリジェント製造、ビッグデータの取り込み、標準化の必要性、ロボット製造。

5.服务型制造(サービス型製造)

 製造業とサービス業の融合・鉄鋼業、軽工業、服飾産業における展望、欧米企業における先進事例。

 

 個人的な感触として、4.が一番の目玉のようである。1〜3の共通のトーンとしては、

「わが国(=中国)は製造大国ではあるが先端的な取り組み、部材に弱く、肝心の部材は他の先進国に押さえられている。これをなんとかしなければいかん。」

という内容をいろいろな分野について各論を展開する、というもの。

inoueの近いところで言えば、MEMS/センサーがらみは2.工业强基と化学プロセスは3.绿色制造が関心のあるところ。今後おいおい詳述する(予定は未定)。

 

 実は工程院の解題書は、上記5巻のほか、「戦略」だの「現状分析」だの・・・こみこみで12巻刊行されている。このなかの8巻が2015年現在の各国の現状分析なのだが、各国製造業をスコア化して以下の順番を付けている。ちょっと順位とスコアが面白い、というかさすが科挙の国という感じがするのでさわりを紹介しておく。詳細はリンクを辿られたし。

 

第1グループ:1.アメリカ(160点)

第2グループ:2.ドイツ(123点)、3.日本(122点)

第3グループ:4.中国(96点)、5.韓国(72点)、6.フランス(66点)・・・

 

 今日はここまで。

 

   

 

中国制造2025あれこれ

 もう2年前の話になるが、中国国務院が

中国制造2025

「中国制造2025」を公表して話題となった。ざっくり言えば製造大国から製造強国への脱皮を図るというもので、inoueの身の回りでも、知人が最近出版した書籍(株の本なんだが・・・)にも言及されるなど製造業の枠を越えて話題になっていることを実感する。

 

本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝

本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝

 

 

 冒頭にリンクされた本文は、既にいろんなところで訳出されているし、中国国務院の工业和信息化部のホームページに行けば中国制造2025のサイトもある。後者はあんまし更新されていないようで、まあいろいろ考えるところはあるんだが下司の勘ぐりの域を出ないのでやめておく。

https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2015/FU/CN20150725.pdf

中国制造2025

 inoueは化学プロセスの研究開発に身を置くこともあり、中国制造2025はそれなりに気にしてちょこちょこ調べていた。そこでつい最近、中国工程院による解題のホームページを見つけてちょっと悦に入っているところ。中国が製造「強国」を目指すうえで何が足りないと自分で考えているか、「中国制造2025」本文にはもちろん書いてあるが、何を「ライバル」と見なしているかがより見えておもしろい。ちなみにリンクに...bookと見えているとおり、出版もされている。なのにフリーでダウンロードできるところがありがたくはある。日本で書店で入手できる中国書籍、貧弱なうえにジャンルが偏っているもんだから、淘宝网でつたない中国語でチャットしながら買わなきゃいけないからね。

中国工程科技知识中心

 せっかくいいものを見つけたので、しばらくこれで遊んでみたい。

 

 技術革新と「職」

[勝手に抄訳] 技術革新と「職」

 以下、Technology and jobs: Coming to an office near you | The Economist

からの抄訳、というか中途訳。

 イノベーション(技術革新)は進歩のたまものだが、それによって職が奪われることもまま起きてきた。産業革命時には織物職人の職が機械織りにとって代わられたし、この30年来のデジタル革命により、20世紀の中流階級の職業、たとえばタイピスト、切符切り、銀行の出納係やおおくのライン工といったものも織物職と同じ運命をたどった。

 このようなある種の職業の衰亡は、技術革新の一面である。なるほどそれにより失われる職業はあるが、同時に新たな職業が生み出され、それによって社会の生産性が高まり、人々は豊かになり、さらなる商品やサービスへの欲求が生まれるのである。100年前、アメリカ人の3人にひとりは農場で働いていた。今日ではその人口の2%にも満たない人が当時よりも遥かに大量の食糧を生産している。農業から解放された数百万もの人たちは失業したのではなく、経済発展に伴って生まれた、より高給な職業に吸収されていった。今日秘書という職業は衰退しつつあるが、コンピュータプログラマーウェブデザイナーといった職業がそれを補ってあまりあるほどに興りつつある。

 

Ironbridge*を思い起こそう

*産業革命発祥の地として、イギリスにて観光スポットとなっている。

 

 技術の進歩を楽観的にとらえるのは正当化できるとはいえ、労働者の立場からすれば技術革新によって職が失われることが、その恩恵よりも先に立ってしまうことがままある。新しい職や魅力的な商品が生まれても短期的には収入格差が拡大し、社会の不均衡をもたらし政治を変えてしまうことが起きるだろう。技術革新のもたらす衝撃は竜巻のようなものかもしれない。それははじめに豊かな国を襲うものの、やがて豊かでない国へ影響をもたらす。

 とはいえ、歴史は繰り返すのだ。産業革命の初期において、生産性の向上の恩恵はもっぱら資本家が享受したが、のちには労働者もほとんどの恩恵にあずかることができた。今日起きていることも似ている・・・

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 さては、Neriの「チェホフを読め」とは、「桜の園」であったか。

 今年の10冊

 [書評] 今年の10冊

 今年の備忘録の1つとして、今年読んで印象に残った本をものす。
1.かまくら子ども風土記
 inoueの小学校時代の愛読書の1つ。当時はB6版の4分冊だった。鎌倉駅前の島森書店で購入。
いまこのエントリを書いているときに気づいたのだが、amazonその他では購入できないみたい。
 読み直してみたら・・・あんまりinoueが子どもの頃と内容は変わっていなかった。

2.ぼくは日本兵だった

ぼくは日本兵だった

ぼくは日本兵だった

 inoueが中学生だった頃、「百万人の英語」というラジオ番組があった。そこでのキーマンの一人がJ. B. Harris氏。
30年を経てamazonで購入。(当然中古ですね)・・・想像を超えた良書でした。下々にとっての戦争、中国人の対日感情(Harris氏は中国に派兵されたので)、敗戦後の旧友(戦時中は敵)との再開・・・彼ならではの経験がてらいもなく描写されていた。なかなか復刊にはならないと思うが、復刊されて欲しい本。

3.フランクリン自伝

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

 今年は公私共々の事情でアメリカに行く機会の多い年だった。そのなかで読んだ本。本の表紙で「今日のアメリカを理解するためにも・・・」とあったが、アメリカ人がなにを美徳と心得るかを知る良書だと思う。

4.Rumsfeld's Rules

Rumsfeld's Rules: Leadership Lessons in Business, Politics, War, and Life

Rumsfeld's Rules: Leadership Lessons in Business, Politics, War, and Life

 史上最年少と最高齢のアメリカ国防長官、おまけにイラクの状態悪化を受けて事実上解任された人による「箴言集」。なので新聞の書評などだといまひとつ評判がよくないが、inoueは尊敬できるアメリカ人の一人だと思っているし、amazonの書評も新聞などのものに較べると受けがいいように見える。(inoueのアメリカの知人は「ええっ!?」というかもしれない)海軍→議員→政権スタッフ→国防長官→企業重役→中東特使→・・・→国防長官、という経歴もアメリカならではだと思う。この本のスタイルは氏の箴言と、そのもとになったエピソードが織り交ぜられていて楽しい。なお、inoueのもっとも好きな箴言はこれである。

Beware when an idea is promoted as "bold, innovative, and new. (p. 276)ただこの箴言、じつは続きが。

  • There are many ideas that are “bold, exciting, innovative and new,” but also foolish.

 inoueも、Rumsfeldが研究には向かないだろうことは認めよう。未読了。

5.Robert Oppenheimer

Robert Oppenheimer: A Life Inside the Center

Robert Oppenheimer: A Life Inside the Center

 アメリカで購入。しばらくはしゃかりきになって読んでいたけれどもやはり未読了。
 前半部分は、Oppenheimerの生い立ちと、彼がキャリアを築いていくのと同時進行であった量子力学が構築されていくさまがvividに描かれている。この書きぶりは脱帽ものであるし、たぶん本書の1つのテーマ。次のテーマは当然マンハッタン=プロジェクト、そして最後は赤狩りで中枢からいわば放逐されていくところがテーマだ(と思う)。何せ未読了なので。
 学生の頃読んだ「スピンはめぐる(朝永振一郎)」をおもいだしながら読んだ。inoueのような化学屋にとってBorn-Oppenheimer近似、って量子化学の基礎的な近似なんだけど、このOppenheimerがまさにその人。

6.Reinventing the Automobile

 これもアメリカで購入。じつは購入したときにmedia labを訪問したんだけど、そのときレーザーカッターと3D printerというdigital fabを駆使して本書のスマート・カーのプロトタイピングを行っていたのが印象に残ったので。この本を購入したときに期待したのは、こういうプロトタイピングのプロセスだったんだけど、もちろんそれにとどまる本ではなかった。都市のデザインと、その中にあるべき車のデザインの提案、といったところ。
 なお、著者のMitchell教授は最近亡くなったが、別の本でMITのキャンパスデザインにもかかわっていたことを別の本で知って驚いた。神の愛でし人、だったのだろうか。

7.紅の党

紅の党 完全版 (朝日文庫)

紅の党 完全版 (朝日文庫)

 胡錦濤体制から習近平体制への移行は、一見平和裏に行われたもののすさまじい権力闘争が外部からも垣間見えた、という意味ではこれまでにない政権交代だった。それを枕にして、中国共産党を朝日新聞の総力を挙げて取材した成果。朝日新聞ならではの取材ができているという意味でも好著だと思う。

8.福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書
 技術者としては必読だと思いつつ読めていなかったのだが、遅ればせながら通読した。何回か読み直す必要があると思う。東電が取材(聴取)に応じなかったのが何とも残念。inoueにとって電子書籍がありがたいと思った反面、ディスカヴァー・トゥエンティワンからしか出ていないというのも残念。国会事故調も読まなきゃ・・・と思いつつ、こちらはまだダウンロードしただけ。
 カウントダウン・メルトダウンも一気に読了。ドキュメンタリーなので読みやすいが、やはり技術者としては報告書を読まなきゃと。

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 下

カウントダウン・メルトダウン 下

9.桜の園・三人兄弟

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

 11月にさる講演会を聞きに行ったら、media labの准教授のNeri Oxmanの講演があった。(林 千晶のいうところの「美人すぎる大学教授」である。)彼女に「技術と人間の関わり方が、今後どうなっていくのか」という質問をしたときの彼女の答えが「チェホフを読め」だった。inoueは小説はしばらく、というかかなり遠ざかっていたのだが、「頭のいい美人のいうことは無条件に受け入れる」ということで読んだ。他のロシア作家と較べて、チェホフは読んでて愉しい。

10.エネルギー問題の誤解 いまそれを解く

 311以降、エネルギー供給の将来をどう考えるかについて未だに考えがまとまらない。なのでいろいろ読んだが、そのなかでも一番納得のできた本。エネルギーは供給に至るまでのシステムとして考えなければならない、という視点は当たり前かもしれないが、これまでinoueの考えにはなかった。