回るおもちゃ

 慶應の日吉キャンパスで行われた↓に行ってきた。


実演!回転物体の不思議な運動


 数年前、“ゆでたまごが立つ理由”について、理論的に解明できたことがNatureで速報になったことがあった。それを解決したのはケンブリッジ大のグループで、そのうちの一人が今回の演者の下村 裕である。


Classical dynamics: Spinning eggs ― a paradox resolved p385
An explanation for an odd egg performance is rolled out in time for Easter.
H. K. Moffatt and Y. Shimomura


 今回の講演(?サイエンス=カフェだからなあ・・・)は2部からなっていた。第一部は昨年7月にイギリスで開かれた”王立協会夏季科学展覧会”の様子の紹介、第2部は”回るおもちゃ”の実演・実習であった。inoueは遅刻してしまったので第一部は聞き逃したが、第2部には間に合った。ここで紹介されたおもちゃは以下の通り。なお、“実演”は、下村自身によるデモンストレーションで、“実習”は、観客が実際それらのおもちゃで遊ぶことである。

・回転卵(ゆで卵の話)
オイラーディスク(コインを回すと、しばらくすると“カタカタ・・・”といってコインが倒れて止まるが、これをおもちゃにしたものがある。ちなみに、”オイラーディスク”で検索してもひっかからなかったが、”Euler disk”で引っかかった下の動画で、inoueが何を言わんとしているのかをくみ取られたし。

なお、ゆで卵の論文における下村の共同研究者のMoffattは、このオイラーディスクのメカニズムを解明して、やはりNatureに発表している。
・ブーメラン(あれもまわすものである)
・・・

 会場はだいたい20−30人程度入るほどのスペースであったが、子供連れやカップル(夫婦)、はては学生もいて結構いっぱいであった。“実習”で、おもちゃにチャレンジする親子や夫婦、自作の“おもちゃ”を実演する人など、カフェらしくてほほえましかった。

 カフェ後、演者や学生さんとちょっと立ち話をする。学生時代に世話になったお礼(学生時代、講義で世話になったのである)と、持参した下村の著書へのサインをお願いしたのであった。ちなみに、カフェ終了後に話していたこの学生さん、inoueの大学のちょうど20年後輩であることを知り、びっくりした。”あれも興味がある、これも勉強したい”という熱さがまた、ほほえましく、頼もしくもあった。(”力学はランダウよりはゴールドスタインで・・・”などということを臆面もなくいえることが、若くてよい)
 梅田がSeptember 11のあとで、“時間の使い方の優先順位を変える”といって近藤を見いだし、はてなにコミットしていったのだとおもうが、そういう気持ちが少しだけわかった瞬間であった。inoueにとっては学会準備もあったのだが、それをおして“いった甲斐のあった”サイエンス=カフェであった。
 そういえば、このカフェの仕掛け人の一人が鈴木 忠である。今回のスピーカーの下村といい、鈴木といい、ともに現在は慶應のいわば“基礎教育”にコミットする人たちであるが、いわゆる“100年の計”としての教育って、こういう人たちの思いが作っていくものかもしれないなどとも考えた。