中国制造再び

 中国制造2025関連で手に入れた文献をいじろうとしていたらほぼ1年。とおもったら数日前の日経で「中国製造2025・・・」がちょっとbuzzっていたので、何を今更?と思ったら関税報復合戦で引き合いに出されたらしい。

www.nikkei.com

 そこで昨年の続き。実はつい最近アジア情報室が、工业和信息部自身による中国制造2025の解説に触れていた。

『「中国製造2025」解読資料』:アジア情報室の社会科学分野の資料紹介(15):アジア情報室通報 15巻4号 | アジア諸国の情報をさがす | 国立国会図書館

 

 中国国内ではどうやら2015年〜16年にかけて解題本が結構出版されたらしい。そのなかでも中国工程院の編纂した解題本は、最も網羅的にこれらのトピックスを解説している。中身を見ているとわが国のNEDOの技術戦略のようなものだが、もちょっと「戦略」色が強そうである。

 昨年のこのブログでもリンクを張っていたのだが、なんとまだこのリンクが生きていたのでもう一回貼っておく。

中国工程科技知识中心

 

 中国制造2025の柱は以下のとおりである。

1.优质制造(高品質製造)

 高品質製造をいかに実現するか、ブランド戦略

2.工业强基(工業基盤の強化)

 各種部品・先端材料・センサに関する基盤技術強化、ならびに生産プロセス強化

3.绿色制造(環境低負荷製造)

 製鉄・化学工業・非鉄金属工業・建材各製造業の環境低負荷化、プロセス産業の環境低負荷化、リサイクルの取り込み

4.智能制造(インテリジェント製造)

 インテリジェント製造、ビッグデータの取り込み、標準化の必要性、ロボット製造。

5.服务型制造(サービス型製造)

 製造業とサービス業の融合・鉄鋼業、軽工業、服飾産業における展望、欧米企業における先進事例。

 

 個人的な感触として、4.が一番の目玉のようである。1〜3の共通のトーンとしては、

「わが国(=中国)は製造大国ではあるが先端的な取り組み、部材に弱く、肝心の部材は他の先進国に押さえられている。これをなんとかしなければいかん。」

という内容をいろいろな分野について各論を展開する、というもの。

inoueの近いところで言えば、MEMS/センサーがらみは2.工业强基と化学プロセスは3.绿色制造が関心のあるところ。今後おいおい詳述する(予定は未定)。

 

 実は工程院の解題書は、上記5巻のほか、「戦略」だの「現状分析」だの・・・こみこみで12巻刊行されている。このなかの8巻が2015年現在の各国の現状分析なのだが、各国製造業をスコア化して以下の順番を付けている。ちょっと順位とスコアが面白い、というかさすが科挙の国という感じがするのでさわりを紹介しておく。詳細はリンクを辿られたし。

 

第1グループ:1.アメリカ(160点)

第2グループ:2.ドイツ(123点)、3.日本(122点)

第3グループ:4.中国(96点)、5.韓国(72点)、6.フランス(66点)・・・

 

 今日はここまで。

 

   

 

中国制造2025あれこれ

 もう2年前の話になるが、中国国務院が

中国制造2025

「中国制造2025」を公表して話題となった。ざっくり言えば製造大国から製造強国への脱皮を図るというもので、inoueの身の回りでも、知人が最近出版した書籍(株の本なんだが・・・)にも言及されるなど製造業の枠を越えて話題になっていることを実感する。

 

本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝

本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝

 

 

 冒頭にリンクされた本文は、既にいろんなところで訳出されているし、中国国務院の工业和信息化部のホームページに行けば中国制造2025のサイトもある。後者はあんまし更新されていないようで、まあいろいろ考えるところはあるんだが下司の勘ぐりの域を出ないのでやめておく。

https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2015/FU/CN20150725.pdf

中国制造2025

 inoueは化学プロセスの研究開発に身を置くこともあり、中国制造2025はそれなりに気にしてちょこちょこ調べていた。そこでつい最近、中国工程院による解題のホームページを見つけてちょっと悦に入っているところ。中国が製造「強国」を目指すうえで何が足りないと自分で考えているか、「中国制造2025」本文にはもちろん書いてあるが、何を「ライバル」と見なしているかがより見えておもしろい。ちなみにリンクに...bookと見えているとおり、出版もされている。なのにフリーでダウンロードできるところがありがたくはある。日本で書店で入手できる中国書籍、貧弱なうえにジャンルが偏っているもんだから、淘宝网でつたない中国語でチャットしながら買わなきゃいけないからね。

中国工程科技知识中心

 せっかくいいものを見つけたので、しばらくこれで遊んでみたい。

 

 技術革新と「職」

[勝手に抄訳] 技術革新と「職」

 以下、Technology and jobs: Coming to an office near you | The Economist

からの抄訳、というか中途訳。

 イノベーション(技術革新)は進歩のたまものだが、それによって職が奪われることもまま起きてきた。産業革命時には織物職人の職が機械織りにとって代わられたし、この30年来のデジタル革命により、20世紀の中流階級の職業、たとえばタイピスト、切符切り、銀行の出納係やおおくのライン工といったものも織物職と同じ運命をたどった。

 このようなある種の職業の衰亡は、技術革新の一面である。なるほどそれにより失われる職業はあるが、同時に新たな職業が生み出され、それによって社会の生産性が高まり、人々は豊かになり、さらなる商品やサービスへの欲求が生まれるのである。100年前、アメリカ人の3人にひとりは農場で働いていた。今日ではその人口の2%にも満たない人が当時よりも遥かに大量の食糧を生産している。農業から解放された数百万もの人たちは失業したのではなく、経済発展に伴って生まれた、より高給な職業に吸収されていった。今日秘書という職業は衰退しつつあるが、コンピュータプログラマーウェブデザイナーといった職業がそれを補ってあまりあるほどに興りつつある。

 

Ironbridge*を思い起こそう

*産業革命発祥の地として、イギリスにて観光スポットとなっている。

 

 技術の進歩を楽観的にとらえるのは正当化できるとはいえ、労働者の立場からすれば技術革新によって職が失われることが、その恩恵よりも先に立ってしまうことがままある。新しい職や魅力的な商品が生まれても短期的には収入格差が拡大し、社会の不均衡をもたらし政治を変えてしまうことが起きるだろう。技術革新のもたらす衝撃は竜巻のようなものかもしれない。それははじめに豊かな国を襲うものの、やがて豊かでない国へ影響をもたらす。

 とはいえ、歴史は繰り返すのだ。産業革命の初期において、生産性の向上の恩恵はもっぱら資本家が享受したが、のちには労働者もほとんどの恩恵にあずかることができた。今日起きていることも似ている・・・

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 さては、Neriの「チェホフを読め」とは、「桜の園」であったか。

 今年の10冊

 [書評] 今年の10冊

 今年の備忘録の1つとして、今年読んで印象に残った本をものす。
1.かまくら子ども風土記
 inoueの小学校時代の愛読書の1つ。当時はB6版の4分冊だった。鎌倉駅前の島森書店で購入。
いまこのエントリを書いているときに気づいたのだが、amazonその他では購入できないみたい。
 読み直してみたら・・・あんまりinoueが子どもの頃と内容は変わっていなかった。

2.ぼくは日本兵だった

ぼくは日本兵だった

ぼくは日本兵だった

 inoueが中学生だった頃、「百万人の英語」というラジオ番組があった。そこでのキーマンの一人がJ. B. Harris氏。
30年を経てamazonで購入。(当然中古ですね)・・・想像を超えた良書でした。下々にとっての戦争、中国人の対日感情(Harris氏は中国に派兵されたので)、敗戦後の旧友(戦時中は敵)との再開・・・彼ならではの経験がてらいもなく描写されていた。なかなか復刊にはならないと思うが、復刊されて欲しい本。

3.フランクリン自伝

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

 今年は公私共々の事情でアメリカに行く機会の多い年だった。そのなかで読んだ本。本の表紙で「今日のアメリカを理解するためにも・・・」とあったが、アメリカ人がなにを美徳と心得るかを知る良書だと思う。

4.Rumsfeld's Rules

Rumsfeld's Rules: Leadership Lessons in Business, Politics, War, and Life

Rumsfeld's Rules: Leadership Lessons in Business, Politics, War, and Life

 史上最年少と最高齢のアメリカ国防長官、おまけにイラクの状態悪化を受けて事実上解任された人による「箴言集」。なので新聞の書評などだといまひとつ評判がよくないが、inoueは尊敬できるアメリカ人の一人だと思っているし、amazonの書評も新聞などのものに較べると受けがいいように見える。(inoueのアメリカの知人は「ええっ!?」というかもしれない)海軍→議員→政権スタッフ→国防長官→企業重役→中東特使→・・・→国防長官、という経歴もアメリカならではだと思う。この本のスタイルは氏の箴言と、そのもとになったエピソードが織り交ぜられていて楽しい。なお、inoueのもっとも好きな箴言はこれである。

Beware when an idea is promoted as "bold, innovative, and new. (p. 276)ただこの箴言、じつは続きが。

  • There are many ideas that are “bold, exciting, innovative and new,” but also foolish.

 inoueも、Rumsfeldが研究には向かないだろうことは認めよう。未読了。

5.Robert Oppenheimer

Robert Oppenheimer: A Life Inside the Center

Robert Oppenheimer: A Life Inside the Center

 アメリカで購入。しばらくはしゃかりきになって読んでいたけれどもやはり未読了。
 前半部分は、Oppenheimerの生い立ちと、彼がキャリアを築いていくのと同時進行であった量子力学が構築されていくさまがvividに描かれている。この書きぶりは脱帽ものであるし、たぶん本書の1つのテーマ。次のテーマは当然マンハッタン=プロジェクト、そして最後は赤狩りで中枢からいわば放逐されていくところがテーマだ(と思う)。何せ未読了なので。
 学生の頃読んだ「スピンはめぐる(朝永振一郎)」をおもいだしながら読んだ。inoueのような化学屋にとってBorn-Oppenheimer近似、って量子化学の基礎的な近似なんだけど、このOppenheimerがまさにその人。

6.Reinventing the Automobile

 これもアメリカで購入。じつは購入したときにmedia labを訪問したんだけど、そのときレーザーカッターと3D printerというdigital fabを駆使して本書のスマート・カーのプロトタイピングを行っていたのが印象に残ったので。この本を購入したときに期待したのは、こういうプロトタイピングのプロセスだったんだけど、もちろんそれにとどまる本ではなかった。都市のデザインと、その中にあるべき車のデザインの提案、といったところ。
 なお、著者のMitchell教授は最近亡くなったが、別の本でMITのキャンパスデザインにもかかわっていたことを別の本で知って驚いた。神の愛でし人、だったのだろうか。

7.紅の党

紅の党 完全版 (朝日文庫)

紅の党 完全版 (朝日文庫)

 胡錦濤体制から習近平体制への移行は、一見平和裏に行われたもののすさまじい権力闘争が外部からも垣間見えた、という意味ではこれまでにない政権交代だった。それを枕にして、中国共産党を朝日新聞の総力を挙げて取材した成果。朝日新聞ならではの取材ができているという意味でも好著だと思う。

8.福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書
 技術者としては必読だと思いつつ読めていなかったのだが、遅ればせながら通読した。何回か読み直す必要があると思う。東電が取材(聴取)に応じなかったのが何とも残念。inoueにとって電子書籍がありがたいと思った反面、ディスカヴァー・トゥエンティワンからしか出ていないというのも残念。国会事故調も読まなきゃ・・・と思いつつ、こちらはまだダウンロードしただけ。
 カウントダウン・メルトダウンも一気に読了。ドキュメンタリーなので読みやすいが、やはり技術者としては報告書を読まなきゃと。

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 上

カウントダウン・メルトダウン 下

カウントダウン・メルトダウン 下

9.桜の園・三人兄弟

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

 11月にさる講演会を聞きに行ったら、media labの准教授のNeri Oxmanの講演があった。(林 千晶のいうところの「美人すぎる大学教授」である。)彼女に「技術と人間の関わり方が、今後どうなっていくのか」という質問をしたときの彼女の答えが「チェホフを読め」だった。inoueは小説はしばらく、というかかなり遠ざかっていたのだが、「頭のいい美人のいうことは無条件に受け入れる」ということで読んだ。他のロシア作家と較べて、チェホフは読んでて愉しい。

10.エネルギー問題の誤解 いまそれを解く

 311以降、エネルギー供給の将来をどう考えるかについて未だに考えがまとまらない。なのでいろいろ読んだが、そのなかでも一番納得のできた本。エネルギーは供給に至るまでのシステムとして考えなければならない、という視点は当たり前かもしれないが、これまでinoueの考えにはなかった。

英語のプレゼンを準備するハウ・ツー

 id:tsugo-tsugoのエントリに触発された。

英語のプレゼンのこつ(理工系用)

 inoueが学会で見たプレゼン見聞、自分でやるようになってからのプレゼンの経験から、泥縄式、じっくり式、いずれも3点にまとめてみる。なお、inoueの業界は化学・化学工学である。

泥縄式

I.フォーマットに従って、ストーリーを作る
 フォーマット、というのはこういうこと
 1.タイトル
 2.Background/Objective:自分の扱う問題(研究目的・背景)を、聴衆のレベルにあわせて提起する。
 3.Goal:プレゼンする研究において、到達すべき目標を提示する。(ストーリーとしては、結論の部分で“ゴールを達成しました、めでたしめでたし”で終わらす)
 4.Outline:(プレゼンの話の流れ)を提示する。
 5.Body(ここからは本題に入ります)・・・・5.の中で、自分がoutlineのどこを話しているのか、適宜反復するとよい。
 6.Summary/Conclusion/Outlook:“ゴールを達成しました。めでたしめでたし。(あとはこんなことをやろうと思います)”
 7.Acknowledgment:この研究に○○がお金をくれました。この研究の△△の部分は、××さんに助けてもらいました。(“××、は、共同研究者でないが、触れておくべき人のことを示す。)

 学会発表で、とくに英語によるプレゼンを行う場合、話さなければならない時間はだいたい15分〜20分(場合によってはそれ以上)。自分の話す中身もさることながら、それ以上にイントロに気を遣った方が、聞き手としてはわかった気分になれる。
 ポスター紹介のショートプレゼンであれば、1→2+3(これを1枚のスライド)→5(一番見せたいデータ)→6という流れ。


II.スライドでは、極力“絵”をして語らしめる。説明文・コメントは簡潔に、ポイントを突くように書く
 1スライドあたり1枚の絵を使うようにし、かつ、スライドあたり主張したいことは、できればひとつだけにしぼる。なお、字のサイズについて、“大小の字が混在すると、見づらくてそれだけで聴く気がなくなる”という人もいた(3種類、が限度だそうである)表題、主張、注釈に分ける、といったところか。
 スライドの数はだいたい、1枚/分。


III.とにかく、少なくとも5回は通しで練習する
 練習の数は、多いほどよい。英語が苦手、と自覚するのであればなおのこと。原稿を作り、その通りに読んでみて、blind(原稿を持たずに、ということ)でやってみて・・・と繰り返していると、だんだん簡潔な言い回しに落ち着くはず。(これがid:tsugo-tsugoのいうところの“中学生レベルの、バカ正直なまでに単純な言い方”だと思う)

 inoueが留学していた大学に、NAS、(米国科学アカデミー)NAE、(同工学アカデミー)、Institute of Medicine of NAS(訳語を知らない・・・)の3つの会員、というやんごとなき御方があった。その方が、“Facultyになってはじめての学会発表(だったと思う)は、3週間前から練習していた”と学内のさる講演で述べていたのがとても印象に残っている。

 以上、泥縄式でした。

 つぎに、じっくり式。

i.英語くらい、話せるようにしよう
 発音がnativeらしくないのは、許容される。Kissingerの英語はべたべたにドイツ語なまりだった(松山 幸雄の著書にあったと思う)、という話や、Ayn Randの英語のロシア語なまりがきつかった(杉田 敏が以前そんなことをどこかに書いていた)という話、などなど。文法がおかしい、のも、ネタにはされるが、許容される。
 しかし、“話せない”というのは、知的でない(素直に言えば“バカ”)、と見なされるリスクがある。
 目安としては、TOEIC600以上、英検ならば2級以上、といったところか。どっちも高いにこしたことはない。
 ちなみに、この“英語は、勉強するべきだ”は、何も理工系に限った話ではなさそう。芥川龍之介や、小林秀雄だって同じことを言っている。


ii.人前で話す訓練をしよう
 場数を踏むこと、ですな。話の組み立て方は、万国共通だと思うので、国内の学会は十分に練習の場になる。
 英語でまとまった話をする、となると、たとえばこれ。

英会話なら岡山トーストマスターズ
岡山トーストマスターズクラブのご案内

 アメリカが発祥の地らしい(さすが、話すこと命、の国だなあ)のだが、こういうところで場数を踏むのも、案外いいかもしれない。


iii.頭が真っ白になる経験、をしてみる
 智者は他人の失敗に学び、愚者は自分の失敗に学ぶ、という箴言があるらしいが、いちどはこういう経験があってもよい。しかも、なるべく若いうちに。もちろん、好きこのんでパニクるわけではないと思うが、いったんこの経験をするとあとあと吹っ切れたようになれる。
 ちなみに、inoueのそれは、修論発表だった。よりによってそんなところで・・・と、当時は思ったものだが、いまにして思えば修論発表の場だったからこそよかった、と思っている。プレゼンの出来不出来で、合否が決まるわけではなかったのだから。


 最後に・・・英語のnon-nativeとしては、“中身が大事なのよ、見てくれよりも・・・”と言いたくなることは一再でない。英語で話せるというのも、そういう意味ではハウ・ツーそのものである。しかし・・・

“我々が生きていくためにハウツーは重要であり、軽視してはならない”
(小野田 武(故人)の文から引用)

ぐっど・らっく!

逃げろ、泣きつけ、それからどうやって食っていくか考えろ

 ちょっと時機を逸してしまったが・・・

ネットニュースはリンク切れが多いからこういう形で記録しておく(東北大院生の自殺の件)

 上記エントリー、心構えとしては悪くないが、すぐにとりうる行動としての“対策”よりは、予防策に近い(たぶん、危険予知的に書いたのだと思うけれど)と思ったので。いじめられっ子の対策、と読み替えても良い。

1.逃げろ
“もう、やっていけない”と思ったら、これに限る。いじいじ悩まずに、逃げろ。

2.泣きつけ
 友達のところ、カレ/カノのところ、親のところ、プライドを捨てて“自分にはどうにもならない、助けてくれ”といえ。上記3カ所のうち、どこかはかくまってくれる。

3.それから、ゆっくりどうやって食っていく考えろ
 落ち着いたら、自分のスキルを洗い直して、どうやったら食っていけるか考えろ。そのときにいろんな人の話を聞いてみろ。

4.最後に

Live well. It is greatest revenge. - The Talmud

inoueがアメリカ経験で学んだこと

inoueのアメリカ経験−1
inoueのアメリカ経験−2
inoueのアメリカ経験−3

 まとめに入る。勝間和代ではないが、3点にまとめることにする。

1.英語は、できるにこしたことはない
 "英語の世紀"に尽くされているかもしれないが、強調しすぎてすることはない。
 i.英語の意思疎通ができなければ、滞りのないレベルに、
 ii.意思疎通ができれば、より正確な意思疎通を
 iii.正確な意思疎通ができれば、正確な英語による意思疎通を

 おそらく、留学/業務において、痛い目、悔しい目に多々遭うものと思う(inoueの場合、2001年の12月の経験がもっとも悔しいものとして残っている)。そして、“あのとき、英語さえできれば・・・”くらい、ばかばかしい言い訳はない、とも思う。

 これは、場合によっては職業選択に関わる場合もある。inoueは結局日本に本部機能のあるところからしか給料をもらったことはないが、アメリカで働くする選択をするのであればii.のレベルは必要になるであろうし、とくに言葉にうるさい(含むアカデミア)で生きていくのであればiii.は必須である。グラント申請が“こんな稚拙な英語で・・・”という理由で却下されたくはないではないか。
 勉強の仕方については、いろいろな勉強法があるので省略する。

2.留学/業務の成果に対するビジョンを持つ
 これは、id:tsugo-tsugoも言っていたこと。

 AWESOME FUTURE-Ockham’s Razor for Engineers

 inoueの場合、企業派遣で技術テーマも決まっていたので、短期的にはあまり悩まなかった。それに、留学の場合は、学位取得などがゴールになると思うので言わずもがななのかもしれない。
 ただし、中/長期的なビジョンになると話は別。
 企業留学(とくに技術系)でよく聞く話;
“大枚はたいて、人一人出すけどねえ・・・アメリカ経験で終わるんだよねえ”である。

 企業留学の場合、ただのアメリカ経験で終わらさないための工夫はとても大切である。同時にこれは、かなりむずかしい(だから、なかなかテーマ創出につながらない)ことではある。inoueの場合、この観点で成功したとは言い難いし、強引に活かす道を選んだ、ともいえる。
 この工夫には、サラリーマンの昔ながらの“ホウ/レン/ソウ”にはじまり、会社の成り立ち・風土に対する考察、誰に重点的にインプットするか・・・といったことがかなり大切になってくる。自分の未来に対する留学の位置づけ、考えておくにこしたことはない。
 なお、留学からはじまって商品化に至ったテーマは、決してゼロではない。この点、悲観しすぎることもない。

 inoueの留学の背景のため、話が企業派遣に偏りすぎてしまった・・・が、留学をいかに活かすか、ということはすぐれて個々人が、自分のポジションにあわせて意識した方がよいと思います。はい。

3.アメリカに行ったら、ゴルフをやろう
 最後は、これ。これは、inoueは完全に怠けてしまった。無駄になるかも・・・と思っても、アメリカに行ったらゴルフのセットをそろえるくらいの心構えはあった方がよい、と思う。

 なお、ボストン近郊のローカルバージョンとして、
“Charles River沿いに行くんだったら、ヨットを覚えよう!”というのもあり。どちらも、日本では考えられないような安値で覚えることができる・・・はず。ところによっては、“乗馬”もありかもしれない。

 最後に・・・番外編

4.本当に、日本はこの先ダメなんだろうか?

海外で勉強して働こう-On Off and Beyond

・・・ダメにするには、良いものがありすぎる、のではないか。環境がらみの技術、省エネルギー技術、電池技術(inoueのおさとがわかりますねえ・・・)ダメだ、ダメだと言われつつも、黙々とこういう分野で世界トップレベルの技術を生み出している日本の現場に、謹んで敬意を表する。