解題=好きをつらぬくということ

 inoueが勝手に師匠と呼んでいる梅田師匠やkogai師匠のエントリーで何かと物議をかもす(とくに梅田師匠のブログで)トピック、inoueのわが身のためにちょっと整理しておく。もちろん、本エントリーが参考になるかならないかは、読み手次第。

 inoueの職業は、化学プロセスの研究開発である。ここで好きをつらぬくことの意味は、
”inoueがおもしろいと思い、かつ役に立つと思う化学プロセスを、inoue独自のスタイルで動かすこと”
動かす、というのは、技術パッケージとしてライセンスする、あるいはinoueごと”身売り”することで、商業化までを実現することである。
 ここでは、好きなことでメシを食う、ということがすでに前提になっている。金銭的な意味でも、積んでいくキャリアという二つの意味で。梅田師匠の”好きをつらぬく”という言い方はちょっと漠とした印象があるものの、まあ同じ意味が裏打ちされているんだろうなと理解している。

 そこでいつぞやの梅田師匠のエントリー

変化に適応しやすいのは大組織より個だ。

 ここはinoueにとって賛否相半ばするところがある。化学プロセスというのはまず、本来個人の役に立つ代物ではない。大組織は商業化を考えれば避けて通れない。ただ、ほとんどの技術開発は組織とどこかで闘いながら進んでいくのもまた事実である。やや安易な言い方に流れてしまうが、”大組織と緊張関係を保ちつつ、完全に敵対もせず、折り合いをつけるbottom lineを個人が(あるいは少数のメンバーからなるグループが)主導権をもって決めたうえで”進めていくのが、実際にうまくいく技術開発であろう。梅田師匠はどこかで、”リアルが絡むと途端にスピードが落ちる”とのたまっていたと思うが、化学プロセスというリアルの権化を扱ううえではこのことは不可避である。
 とはいえ、こんな世界がうらやましいことも事実。

設立したHatena Inc. で必要な比較的シンプルな仕事の断片は、Richのサジェスチョンで、時間単価をだいたい決めてCraig's Listに投げるようにしている。そうすると驚くほど多様な人々が、その仕事に応募してきて、簡単なテストをしていちばん能力が優れていてやる気と創意工夫に満ちた人に依頼する。仕事を出すと決まった人が、シリコンバレーに住んでいる人とは限らない。

 ちょっと話がそれた。続きはまた明日。