Somorjai教授、ACS Priestley Medal授与が決定

 やはりC&ENから。ちなみにこの人は、固体触媒反応を表面化学的に理解しようして、研究手法を確立した人の1人。inoueは学生時代、この人の論文を目にする機会が多かった。というか、そんな研究スタイルのところにいたので、ちょっとしたノスタルジーとともに。

Somorjai Is Named 2008 Priestley Medalist

 化学プロセスにおいて、固体触媒反応はときどき”ええっ?”というような反応を行うことが少なくない。以前触れたアンモ酸化などはその好例。ただ、その触媒が見つかるかは別問題で、”類似の反応で見出されている触媒がこうだから、あとはあれを足して、これを足して・・・”というのが昔も今も変わらない触媒探索だとおもう。(しかも、それがことごとく外れる)少なくとも、inoueの経験している範囲では。
 触媒探索は、創薬の探索に似ているところがあるのだが、触媒合成(調製という)が創薬ほどシステマティックになっていないうえ、メカニズムへの理解の程度もはるかに浅いので探索の効率化も現状ではいまひとつ。
 創薬の探索プロセスなんか、たとえば下記のような本にその紹介がある。(そういえばこの本、kogai師匠の書評にもありましたね。)

新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線 (ブルーバックス)

新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線 (ブルーバックス)

 Somorjaiは言ってみれば、触媒反応をいわばサイエンティフィックに理解し、その積み上げたさきに触媒設計をもってこようとしたもの。メカニズムへの理解を深められれば触媒探索のスピードが上がる・・・と肯定したいが、まだまだ先はかかりそうだ。