Stanley L. Miller氏逝去

　生命の起源を化学的に解明する実験として,有名な実験にMillerの実験がある。

　有機化学美術館・分館　＊重曹からフェノールへ

　実験に名前が冠されているUC San Diego名誉教授Stanley L. Miller氏が亡くなった。享年77歳。

　Origin of Life Researcher Dies (C&EN, May 28, 2007)

　アンモニア水を沸騰させた条件でメタン・水素の共存下放電を行うことで地球の創成期の環境を再現し、この条件下で最大5種類のアミノ酸が生成することを見出した。近年はここに、高圧・高温雰囲気をいわばadd onしてさらに地球創成期の再現度合いを高め、アミノ酸やペプチドの生成を見る研究が進んでいるらしい。inoueの身の回りにも、そんな研究をしている人がいる。Millerの実験から50年以上。こうやって続いていく研究もまたよきかなと思う。

　Millerの実験の原著論文は以下のとおり。

　"A Production of Amino Acids Under Possible Primitive Earth Conditions" Stanley L. Miller, Science 1953, 117, 528-529.
"Production of Some Organic Compounds under Possible Primitive Earth Conditions" Stanley L. Miller, JACS 1955, 77, 2351-2361.

　合掌。