キャノン SEDテレビ発売再延期

 昨日に引き続き、“化学業界の話題”から

キャノン SEDテレビ発売再延期
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/sed_a03f.html

 knak師匠の情報が網羅的であり、分析も行き届いているので、inoueが何を補足するわけではない。ただ、2つの点で興味深いと思ったので。

 ひとつは“ナノテク”が立派に役に立っていることである。いまさら何を、といわれるかもしれないが、研究(研究開発とはあえて書かない)中心の現場にいたり、あるいはナノテクの最先端の話を聞いていると“で、それが使えるようになるのはいつごろ?”と問いかけたくなることがしばしばある。これなどはブラウン管を“ナノテク”を使って軽薄短小化し、市場に打って出ようとしていたわけで、“やっぱ役に立つんだあ”と改めて“ナノテク”を見直した次第。もちろん、ここにいたるまでにはいやになるくらい試行錯誤があったと思うけれど。

 あともうひとつは、知財戦略というのは文字通り各件各様なんだなあということ。この業界の門外漢なので詳細はわからないが、キャノンと東芝のJVが重要部分の特許出願を行わずに極力ブラックボックス化した背景には、たとえばシャープの液晶テレビ製造技術についての知財戦略があったんだろうなあと考える。SEDの先駆性を考えれば、わからなくはない。
 ただ、シャープの液晶テレビとSEDテレビの置かれている状況を較べると、大切なところがかなり違っているんじゃないかと思う。たとえば、

SEDテレビは、新型(ブラウン管でない)テレビとしては後発である。
・シャープは全技術を自社で掌握している立場にある。SEDテレビについては、もともとキャノンと東芝のJVとして手がけていたうえに、シーズ技術がアメリカのベンチャー企業にある。

 この2点の違いがSEDテレビの発売再延期としてあらわれてしまったと思う。考察続く。